新春のご挨拶と議会報告
謹んで、
新春のお慶びを申し上げます
昨年は、コロナ対応に振り回され、様々な活動が制限された一年でした。感染症の急速な拡大は、ワクチン接種等により、一旦は沈静化しましたが、新たに感染力の強いオミクロン株の出現で予断を許しません。しかしながら、マスク・手指消毒をはじめ感染予防に取り組み経済活動を再開することも望まれています。また、一年を超えて続いた緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が地域経済に与えた影響は大きく、コロナの影響で傷ついた地域経済の立て直しは、喫緊の課題であり最優先事項でです。さらに、中長期的には、魅力にあふれる京丹後、働きがいのある京丹後市を目指すことで、誰もが京丹後に帰ってきたい、住み続けたいと思えるまちにしていくことが大切です。
本年、壬寅(みずのえとら)は、厳しい冬を越えて芽吹き始め、新しい成長の礎となる年といわれています。春からは折り返して後期となり、議会構成も一新されます。「誰もが、安心して健やかに、笑顔で暮らし続けられる京丹後」となるよう邁進して参ります。
皆様にとって、新たな日常が芽吹く年になることをご祈念申し上げ、引き続き、ご支援を賜ります様、宜しくお願い申し上げます。
さて、近況を以下の通りご報告します。
まちづくりの拠点整備の検討が始まった
合併協議では「新庁舎の位置に関しては合併後に検討する」として、現在の峰山庁舎が暫定的な本庁舎として合意されました。以来16年間、本庁舎の位置はおろか、新市建設計画に明記された都市拠点や地域拠点の整備について何ら提起されることなく時が過ぎ、有利な財源である合併特例債の期限が迫る中、当初の庁舎増築棟計画では、「将来的な本庁舎」として位置づけ提案されました。
何の議論もないまま安易に庁舎を固定化するだけでなく、唯一残された新しいまちづくりの機会を市民から奪うことになります。3月定例会では、都市拠点と地域拠点について議論しないのであれば、増築棟建設は容認できない旨を主張した結果、増築棟建設に関する予算が一旦取下げられ、6月定例会で改めて、都市拠点と地域拠点について議論と合わせて検討されることになりました。
私は、幾度となくこの問題を取り上げてきましたが、市民の視点で考えるのであれば、今いる場所で誰もが安心して住み続けるために、日々の生活に必要なことが概ね賄えるよう市民局等に整備する。地域拠点から遠い集落においては、自治会などの協力を得て小さな拠点を整備し、コミュニティバス等で地域拠点と繋ぐことができれば、さらに安心です。先ずは生活に身近な地域拠点を整備し、そこへまでの公共交通を確保することが重要です。その上で、都市拠点には、行政の中央的な機能や文化施設を整備することで、商業施設等が集積される。同時に都市拠点は、地域拠点や医療機関と公共交通等で結び、全ての公共交通の結節点として機能させることが重要です。
市ではこれまで、行財政改革の名の下に、経費を削減し、効率化と集約を繰り返してきました。その結果、顔の見えない市役所となり、市民から遠い存在となっているのではないでしょうか。近年多発する豪雨災害等への対応、少子化・過疎化による地域力の低下などを考えると、このまま全ての行政機能を集中することが、最善とは考えていません。
これまでは、職員を集約することが当たり前で、市役所が遠くなった分をICTで市民と対面する方法を模索してきました。しかし、コロナ禍でICTの活用が進む中、働き方改革とも相まって、どこでも仕事が出来る環境が整い分散勤務を可能にしました。ただ、短期的には情報弱者への配慮も必要です。また、緊急時には目の前に職員がいるだけで市民は安心を感じるものです。総合的に考えれば、地域拠点に行政職員を分散配置することで拠点施設が維持できるだけでなく、周辺の雇用を生み、地域の賑わいに繋がります。逆転の発想で、市民と職員をICTで繋ぐのではなく、職員同士が繋がり、職員が市民に寄り添う組織風土をつくるべきではないでしょうか。
丹後地域における民間の大型風力発電事業について
京丹後市内に予定されている民間の大型風力発電所の建設事業について、9月定例会、12月定例会と2回の請願が提出されました。この件は、SNS等では、ネガティブな情報も多く、市民の皆さんから不安や懸念の声も頂いています。
一方、風力発電事業は、基本的に国が進める再生可能エネルギーの一つであり、多くの法令の制約をクリアして初めて着手されます。また、整備の過程や整備後の管理においても法令の制約を受けることになります。ただ、議会として民間の事業に対する可否を議決することはできません。このようなことから、議会が請願に直接応えることはできません。環境アセスに入る前の現段階で出来るのは、市民の不安に寄り添うことだけです。
ただ、議員として、どの様な施設が出来るのか、どのような影響があるのか、知っておく必要はあります。懸念する事案について共有し改善させる。その上で持続可能なまちづくりのため、共生・協調して新たな未来を創造していくことが大切だと考えます。
議会に今できることをする。具体的には、関係地区へ出向いて、住民が懸念する事象について、過去の経験を下に話を聞かせていただくこと。地域の生態系について知見を持つ専門家等の意見を伺うなど、委員会で提案しました。12月10日に配慮書が公表されたことで、事業者も地元住民等から意見を聞く機会を設けることになっています。同様のことになるかもしれませんが、できるだけバイアスの掛からない状況で、議会として冷静にご意見を聞くことが出来ればと考えています。
今後、状況が進展する度に、市民の皆さんや事業者からご意見を伺い、議会として出来ることについては取り組んで参ります。
市政運営に関する要望書を提出、市長と意見交換
【要望事項】
1.地域経済立て直し優先の政策と必要な財源確保
2.災害に強い持続可能なまちづくりの実現
3.未来を展望した子育て支援
4.「生きる力」を育む、教育環境の充実
5.助かる命を助けられる医療ネットワークの構築
6.厳しい状況を乗り切るための経営支援の充実
7.アフターコロナを見据えた観光地域づくり
8.ブランディング戦略による高付加価値化と市民所得の向上
9.地産地消型エネルギーの推進
10.庁舎施設の複合化並びに合同庁舎化の検討
以上、要旨はこちらへ。
財政運営の在り方について
12月定例会で、財政運営について一般質問をおこないました。課題として取り上げたのは、市長がマニフェストに掲げているふるさと納税と一次産品の付加価値を高める食品加工施設です。ふるさと納税は、令和3年度10億円、4年度20億円、5年度30億の目標を掲げ、市の歳入確保にとって大きく期待が寄せられています。一方の食品加工施設は、本市の豊かな農産物や海産物は、そのまま出荷されることが多く、規格に合わないと価値が下がります。加工することで、通販やふるさと納税の返礼品として付加価値を上げることが出来きます。
良いこと尽くめのようですが、課題が無いわけではありません。
1.ふるさと納税の運用のあり方について
京丹後市の予算規模は約350億円、ふるさと納税は令和2年度6億を令和5年度30億へ増やす公約を市長は掲げています。ふるさと納税は、「ふるさと応援寄付金」として一般会計に入る一方で、令和2年度は返礼品として約45%、事務費約5%が必要となります。ほかにも返礼品の商品開発を促す政策に係る経費と関連する補助金なども考えられます。
しかし、ふるさと納税は、「寄付金」です。さらに、返礼品を目的とする方も多いことを考えると、激しい返礼品競争の中で、毎年同様の売上かあると限りません。返礼品は、ふるさと納税に比例しますが、事務費は固定です。不確定要素の大きい寄付金を当てにした予算編成は、市の財政規模を見誤るリスクもあります。ふるさと納税に関連した収支の見える化は必要です。
2.投資的事業のあり方について
京丹後市では、主に缶詰を主力とする食品加工支援センターの整備に約1億5000万円を投じる計画があります。
農家や水産事業者の後継者不足等の問題から、収益向上のため全国的に6次化に取り組まれてきました。現在、食品加工施設を整備するにはHACCP基準をクリアする必要があることから、小規模な事業者では施設整備は困難です。京丹後市においても、農産物や海産物など1次産品の加工が課題としてあります。
しかし、この計画(案)の問題は、民間の食品加工工場と何ら変わらない事業を行うにも関わらず、市が100%施設整備を行い指定管理施設とすることにあります。施設運営は、地場産業振興センターが受託し、センターから民間事業者が加工を受託することになっています。運営経費は、加工賃で捻出する計画で、生産者からの試作品のほか、量産も引き受けるとしています。生産者から材料とレシピを受け取り、加工賃で受託。缶詰に加工し後、商品の販売は生産者が行うことになります。加工を受託する民間事業者は、設備投資の負担なく事業を開始でき、商品在庫のリスクもない。指定管理施設である以上、設備更新は再び税で賄うことになります。
他にも、自然あふれるビジネスセンターは、テレワーク環境を有する施設・事業者や関連機関が一体となって、多様なニーズに対応したテレワーク・ワーケーションプログラムを開発して、都市部からの新たな人の流れをつくる「京丹後型ワークスタイル」の構築を目指すというものです。令和3年9月から令和8年3月末までのコディネート委託料として約6790万円を予定しています。
ただ、このセンターの構想を提案した推進戦略策定検討会のメンバーが、コーディネーターを受託しています。建物でいえば、基本設計した業者が、建築を請け負うようなもの。市は「問題ない」としていますが、その選定の在り方を市民がどう判断するは別です。「李下に冠を正さず」とのことわざがあるように、疑念を招くようなこと選定に問題があります。
市内産業に必要なものであっても、事業の提案に至るまでの過程や事業者の選定について疑義があれば賛成できないこともあります。また、市と民間事業者のリスク分担の考えは重要です。特に受益者負担の原則は忘れてはならないことです。どこに公益性があるのか。それが妥当かどうか説明責任が問われます。